2015年に入り、すでに聴診器の開発開始から2年半が経過していました。
当初うちうちで目標としていた完成までの期間は約1年半。
プロジェクト開始当初は、開発に携わるケンツメディコ社の方たちの間にも、
「白衣メーカーが、ほんとにやるの?」「どこまで本気なの?」と、
どこか半信半疑のような空気感があったように思います。
自社での新商品開発や既存商品の改善、他社とのプロジェクトもある中で、
彼らから見れば「シロウト」と思われる僕らのプロジェクトにどこまで時間を割くべきなのか、そんな思いも、もしかしたらどこかにはあったのかもしれません。
ひとつひとつのプロセスが逐一スムーズには進まず、いくつもの壁にぶつかり、それを愚直にクリアしていく日々でした。
しかし、理想に向かってあきらめないことが僕らの唯一の武器でした。今から思うと、それは「シロウトの強み」だったのかもしれません。
「こういう理由だから、ここはこうするしかない」と説得されても、絶対に
「はい、そこはしょうがないですね」とは言わない、僕らの往生際の悪さ。
それは情熱として、徐々に開発スタッフの方々に伝わってきている感触がありました。
当初は全然無理と思われていた構造が少しずつ形になりはじめ、
完成が夢ではない、というレベルで見え始めたある日のミーティング。
現場の工場長がぼそっとつぶやきました。
「俺…これ完成したら、自分用に1個欲しい。」
聴診器製作のプロであり、現場で何十年も聴診器を作りづつけている工場長が、
最後の最後に言ってくれた一言。
思えば、ケンツメディコ社のエンジニアの方々の経験と技術力、そして未熟な僕らの熱意にとことんつきあってくださったからこそ、ここまで来れたのです。
僕自身も感謝の気持ちでいっぱいになりました。
プロジェクトにかかわるすべての人たちみんなが、
会社の枠を超えて本気になってくれている。
「これはいける!」と確信した瞬間でした。
ドキドキしながら待った、US現地からの声
初期の設計時にはさまざまなユーザーの方々に話を聞きにまわって、コンセプトを固めていきました。しかし、一旦つくりはじめてからはほぼ完成するまで誰にも見てもらっていなかったのです。
僕らの最終目的は、あくまでユーザーに驚きをもって喜んでもらうこと。
だからこそ、完成間近の最終段階として、ここはユーザーに実際に使ってもらって、率直な感想をぜひ聞いてみたいと思い、
USのユーザーにトアイアルしてもらうという機会を得たのです。
とても緊張しました。
これだけ時間をかけて作って、もちろん自信はあるんだけど、
心のどこかでは、「全然だめ」とかいわれたらどうしようとか
不安な気持ちをいっぱいかかえながら、結果を待ちました。
3年近くをかけた僕らの挑戦が、果たして受け入れてもらえるのだろうか?
NYでユーザーヒアリングを担当してくれている
池澤さんから現場のユーザーの感想が、
メールで送られてきました。
おそるおそる、インタビュー映像とアンケート結果を見て驚きました。
そこには思いもよらない言葉があったのです・・・
ここからの内容は、
2/9発表のindiegogoのプロジェクトページ内で
実際のインタビュー動画とあわせて
ご覧いただけます。
3年あまりに渡る、僕らの聴診器への挑戦。
その集大成を2/9 indiegogoにてぜひご覧ください。
前の記事:第3回 「誰にとってもマイ・聴診器に」のこだわりから生まれた美しいデザイン。
開発秘話公開スケジュール:
1/21 予告編 Classicoから、常識を超える聴診器。2/9登場。
1/26 第1回 なぜ聴診器は常にこのカタチなのか?
1/28 第2回 白衣メーカー、無謀にも聴診器をつくる。
2/2 第3回 「誰にとってもマイ・聴診器に」のこだわりから生まれた美しいデザイン。
2/5 最終回 工場長のつぶやき。「俺、これ完成したら、自分用にひとつ欲しい」